桜野季節2

「うわー…たくさん居るね…」


昇降口付近にはたくさんの生徒たちが集まっていた。


「こっからじゃ見えねぇな…よし星歌、行くぞ!」


「わっ」


冬馬は星歌の腕を掴み、人をかき分け前に出た。


「えーっと…あっ、あった!二組の…星歌も同じだぞ!」


貼り出された紙を見た冬馬は、すぐに名前を見つけ出してしまった。

そして、嬉しそうに振り返る。


「本当!?良かっ――きゃ」


と、肩に何かがぶつかった。

近くに居た生徒だ。

押され、また別の生徒にぶつかる
冬馬の手が離れる。


そのまま星歌は勢いよく外に押し出された。



「うわっ!…とっ、と…」


必死に体勢を立て直そうとするが、上手くいかずー


(倒れる…!)


そう思い、反射的に目をつぶった。

先は固いアスファルト

……………

………



のはずだったが…



「…あれ……痛くない…?」


恐る恐る目を開けた。


と、そこは地面ではなくてー


「痛い訳ねぇだろ」


「あ…?」


状況が理解できない



星歌が倒れた先は固い地面ではなくて…



柔らかく…はないけど固くなくて…



背中に回された…



腕が…?