桜野季節1

四月ー



桜が舞う季節




この日、伊津野星歌は、「桜野学園」の門をくぐるー






今日から星歌は高校生になる。

大きく息を吸い、校舎を見上げた。
とても綺麗な学校だ。

この学校で三年間過ごすのかと考えると、なんだかわくわくしてくる。


「星歌ー!」


正門の方に目を向けると、大きく手を振りながらこちらに走って来る人影が見えた。

なんというか…かなり目立っている。


「ちょ…冬馬君、そんな大声出さなくても…」


少し恥ずかしくなり小声になってしまう。

彼は藤田冬馬(ふじたとうま)
幼なじみの男の子だ。

冬馬は恥ずかしいなどとは微塵も思っていないようでー


「何でだよ?別にいいだろ?」


「いや…だって…」


星歌は顔を赤くしながら口ごもる。


「あ!それよりさ、クラス見に行こうぜ!」

「そ…そうだね」


クラス表は昇降口のあたりに貼り出されているらしく、二人は急いでそこへ向かった。