桜野季節 プロローグ
「でーきたっ」
蓮の透き通るように綺麗な声が、部屋中に響き渡った。(とはいっても、小さな部屋だ)
「むー、どれどれ?」
「本当に?何か心配なんだけど」
そう言いながら蓮の元に向かった二人。
「失礼ね!ほらほら、見てみなさいよ!星歌ちゃんたちもこっち来なさい」
「はい!」
星歌は元気良く返事して行くが、ソファで寝ている冬馬と、机に向かって委員会の仕事でもしているのであろう久也は全く動こうとしなかった。
だが、気にせず。
「じゃっじゃーん!」
と、蓮が手にする一枚の紙。
それは、この部活、「探偵部」のポスターだ。
「えーっと…これ…いや、別にいいんじゃない?何でも」
「蓮先輩素晴らしいです!感激です!先輩にこんなことが出来たなんて…!」
海斗は呆れ、来夢は涙ぐんでいた。
「あー、もう!言いたいことがいろいろあるけど、今はいいわ。星歌ちゃん、どうかしら?」
蓮がキラキラした目で星歌を見ている。
「ど…どうって…えーと…シンプルでいいんじゃないでしょうか?」
「じゃ、これで決定ね!明日から、探偵部の活動、本格的に始めるわよ!」
こうして、桜野学園探偵部が始まる。